ベランダや屋上のメンテナンスを検討する際、選択肢の1つとして挙げられるのが「ウレタン防水」です。しかし、ウレタン防水が具体的にどのような特徴を持つ工法なのか、詳しく知ない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ウレタン防水の基本的な仕組みをはじめ、施工時に得られるメリットや考慮すべきデメリットについて詳しく解説します。これから建物の補修を進める予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ウレタン防水とは
ウレタン防水は、多くの建物で採用されている定番の防水工事です。ここでは、どのような素材を使っているのか、なぜ日本国内で広く普及しているのかなど、ウレタン防水の基本的な特徴について詳しく解説します。液体状のウレタン樹脂を塗り重ねる工法
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を複数回に分けて塗り重ね、継ぎ目のない防水層を形成する工法です。液体の性質を活かすことで、建物のあらゆる形状に合わせてシームレスな塗膜を作れます。たとえば、シート状の防水材では対応しきれない段差や凹凸がある場所でも、隙間なく綺麗にカバー可能です。このように、液状の材料をローラーやコテで丁寧に塗布し、建物を雨水から守るのがウレタン防水の大きな特徴と言えるでしょう。
国内の防水工事で最も安価で普及している工法
ウレタン防水は、日本国内の防水工事においてシェア率が高く、比較的安価に施工できる点が魅力です。また、専用の大型機械を搬入する必要がなく、材料費や人件費などの初期費用を低く抑えやすいという理由が挙げられます。実際に、アスファルト防水やシート防水といった他の工法と比較しても、工費を大幅に削減できるケースが少なくありません。コストパフォーマンスに優れているため、一般住宅から大型のマンションまで、幅広い建物で積極的に採用されています。
ベランダなどの複雑な形状にぴったり密着する工法
液状の樹脂を使用するウレタン防水は、複雑な形状の場所でも密着させることが可能です。固形のシートを貼り付ける工法とは異なり、施工箇所の形に合わせて液状の塗料が自由自在に広がる特性を持っています。たとえば、室外機が設置されているベランダや、配管が入り組んでいる屋上などでも、細かい部分まで隙間なく施工を進められるでしょう。そのため、立地や建物の構造を問わず、どのような現場にも柔軟に対応できる防水工事として重宝されています。
ベランダにウレタン防水を施工する3つのメリット
建物のなかでも、とくにベランダの防水メンテナンスにおいてウレタン防水は適しています。ここでは、ベランダという特有の環境にウレタン防水を取り入れることで得られる、3つの具体的なメリットを紹介します。狭いスペースでも作業可能
ウレタン防水は、作業スペースが限られている狭小なベランダでもスムーズに施工できます。なぜなら、大がかりな専用機材や火気を取り扱う必要がなく、職人が塗料を入れた容器とローラーなどの手道具だけで作業を進められるからです。たとえば、一般的な戸建て住宅のコンパクトなベランダであっても、材料の搬入や足場の確保に悩まされることはほとんどありません。機材の制約を受けにくい特性があるからこそ、どのような広さのベランダにも対応できる点が大きな強みと言えます。
障害物があっても施工可能
ベランダ内に移動させることが難しい障害物がある場合でも、ウレタン防水なら問題なく施工を完了できます。ウレタン防水では、液状のウレタン樹脂をハケやローラーで塗り込むため、障害物を避けながら細部まで施工可能です。たとえば、備え付けのエアコン室外機や排水口(ドレン)の周り、手すりの基礎部分など、形状が複雑な箇所でも隙間なく塗布できます。このように、物理的な障害が置かれている環境でも、防水性能を損なうことなく確実な施工を実現できるのが魅力です。
既存の防水層を撤去せずに上塗り可能
過去に別の防水工事が施されている場合でも、ウレタン防水であれば既存の防水層の上から直接塗り重ねられます。ウレタン防水は、さまざまな素材のうえに密着しやすい性質を持っており、古い防水層をわざわざ剥がさなくても施工可能です。実際に、以前施工した防水層の劣化が進んでいる状態でも、適切な下地処理を施せばそのまま上塗りで補修を完了させられます。
廃材の発生を抑えられるだけでなく、撤去にかかる費用や時間も削減できるため、環境にもお財布にも優しい工法と言えるでしょう。
ベランダにウレタン防水を施工する3つのデメリット
多くの利点がある一方で、ウレタン防水には事前に把握しておくべき注意点も存在します。ここでは、ベランダに施工する際に考慮すべき点として、3つのデメリットとその対処法について詳しく解説します。職人の技術力によって仕上がりが左右される
ウレタン防水の品質は、施工を担当する職人の腕や経験に大きく依存します。施工の際は、液状の塗料を手作業で塗り広げていくため、均一な厚みの防水層を形成するには高度な技術と熟練の感覚が求められます。たとえば、塗膜が薄すぎる箇所があると数年で雨漏りが発生する恐れがあり、逆に厚すぎるとひび割れの原因になってしまうでしょう。長期間にわたって防水性能を維持するためには、実績が豊富で信頼できる専門業者へ依頼することが成功のポイントです。
定期的なトップコートの塗り替えが必要になる
ウレタン防水の性能を保つためには、表面を保護するトップコートを定期的に塗り替える必要があります。これは、ウレタン樹脂自体は紫外線に弱く、太陽光に晒され続けると劣化して防水層としての機能が低下してしまうためです。目安として、施工から約5年〜7年に1回のペースでトップコートを再塗布することで、内部の防水層を紫外線から守り続けられます。初期費用を抑えやすい工法ではあるものの、維持管理のランニングコストがかかる点はあらかじめ考慮すべき点と言えるでしょう。
塗料を数回に分けて乾燥させるため工期が長くなる
ウレタン防水は、他の防水工事と比較して施工が完了するまでに時間がかかる傾向にあります。これは、下塗り、中塗り、上塗りといった工程ごとに塗料を完全に乾燥させる必要があり、次の作業に移るまでに待ち時間が発生するからです。天候や気温にも左右されますが、一般的なベランダの広さであっても、すべての工程を終えるのに3日から1週間程度は確保しなければなりません。
早急に工事を終わらせたい場合や、天候が不安定な季節に施工を計画する場合は、余裕を持ったスケジュールを組むことが欠かせません。
ウレタン防水で用いられる2つの代表的な工法
ウレタン防水には、建物の状況や施工面積に合わせて選べる複数の工法が存在します。ここでは、現場でよく採用されている「密着工法」と「通気緩衝工法」という2つの代表的な種類について解説します。ベランダなどの小面積に適した密着工法
密着工法とは、専用のプライマーを塗布した下地の上に、直接ウレタン樹脂を塗り重ねていく施工方法です。工程が比較的シンプルであり、短期間かつ低コストで防水層を形成できるという特長を持っています。室外機などの障害物が多いベランダや、人が歩行する機会の少ない小規模な屋上などで、この工法が積極的に採用されています。
ただし、下地の水分を逃がす仕組みがないため、雨漏りしている場所や面積の広い屋上への施工には適していない点に注意が必要です。
屋上などの大面積に適した通気緩衝工法
通気緩衝工法は、下地とウレタン樹脂の間に通気性能を持つ特殊なシート(通気緩衝シート)を挟み込む施工方法です。下地に含まれる水分を水蒸気として外部へ逃がす仕組みを作ることで、塗膜が膨らんだり剥がれたりするトラブルを防げるというメリットがあります。密着工法よりも材料費と手間がかかる分、耐久性が大幅に向上するため、建物を長期的に保護したい場合に最適な工法と言えるでしょう。
まとめ
ウレタン防水は、液状の樹脂を塗り重ねることでシームレスな防水層を作る、国内で最も普及している工法です。ベランダのような複雑な形状や狭いスペースでも柔軟に作業を進められるうえに、比較的安価に施工できるという大きな魅力を持っています。一方で、職人の技術力に依存する点や、定期的なトップコートの塗り替えが欠かせないといった注意点も理解しておく必要があるでしょう。建物の構造や劣化状況に合わせて最適な工法を選択し、信頼できる業者へ依頼することで、施工を成功させてください。