建物の屋上やバルコニーなどに施されている防水工事は、雨漏りを防ぎ建物を守るために必要不可欠なものです。しかし、いざ防水工事を依頼しようと思っても、どのくらいの期間がかかるのかわからず不安に感じる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、防水工事にかかる期間の目安と、工期を左右する要素について詳しく解説します。
防水工事の工期の目安
防水工事の工期は、工事の規模や選択する工法によって異なります。防水工事にかかる日数は、平均して3日から10日程度とされています。ただし、これはあくまで一般的な目安です。建物の状態や選択する工法、天候などによって工期は変動します。まず、液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成するウレタン防水は、目安日数が3〜5日程度です。継ぎ目がなく、複雑な形状の場所にも対応しやすいのが特徴で、コストパフォーマンスに優れています。
次に、ガラス繊維にポリエステル樹脂を塗布して硬化させるFRP防水は、目安日数が1〜3日と比較的短期間です。軽量で強度が高く、硬化が早いため、ベランダやバルコニーの施工に適しています。
さらに、塩化ビニールやゴムなどでできたシートを下地に貼り付けるシート防水の目安日数は2〜4日程度です。広範囲の施工に適しており、機械で固定するため施工スピードが速いのが特徴で、耐久性も安定しています。
そして、加熱溶融したアスファルトで防水層を形成するアスファルト防水は、目安日数が5〜10日程度です。高い防水性と耐久性を誇り、大型の建物や公共施設で多く採用されます。ただし、施工には熟練した技術が必要な工法です。
防水工事の工期は、下地の状態によっても大きく変わります。既存の防水層の劣化が激しい場合や、下地にひび割れや浮きがある場合は、補修や下地処理に多くの時間が必要となり、工期が長くなることがあります。
また、雨天や強風など天候の影響を受けるため、予備日を含めて計画を立てることが重要です。このように、工法によって工期の目安が変わるため、事前にそれぞれの特徴を理解しておきましょう。
防水工事の期間を左右するポイント
防水工事の工期を左右するポイントは3つあります。まずは下地の状態です。既存の防水層が激しく劣化していたり、下地にひび割れや浮き、剥がれなどの損傷が見られたりする場合は、補修や下地処理に多くの時間と手間がかかってしまいます。とくに雨漏りが発生している場合は、原因を特定して下地を完全に乾燥させる必要があるため、工期が大幅に延びる可能性があるでしょう。また、既存の防水層を撤去する必要があるかどうかも工期に影響します。撤去作業には追加の時間と費用がかかるため、事前の診断が大切です。
次に、天候も工期に影響を与えます。防水工事は基本的に屋外でおこなわれるため、雨や雪が降ると作業を中断せざるを得ません。とくにウレタン防水やFRP防水のような塗布工法の場合、材料が完全に硬化する前に雨が降ると、防水性能に影響が出るため、晴れた日が続く期間を選んで施工するのが理想的です。
梅雨の時期や台風シーズンなどは、工期が予定より延びる可能性が高いことを考慮しておく必要があります。さらに、建物の形状や面積も工期を左右する重要な要素です。複雑な形状の屋上や、エアコンの室外機などの障害物がある場合は、作業が難航し時間がかかることがあります。
また、面積が広ければ広いほど、材料の塗布やシートの敷設に時間がかかってしまうでしょう。作業員の人数や、使用する材料の乾燥時間も工期に影響を与えるため、これらの要素を総合的に考慮して工期を見積もる必要があります。
防水工事期間を少しでも短くするには
防水工事のポイントを知っておくことで、防水工事の工期を短くすることが可能になります。効果的なポイントのひとつが、速乾性の高い材料を選ぶことです。とくにウレタン防水の場合、速乾性のウレタン防水材を使用することで、下地の状態を問わず高い密着性を確保し、施工にかかる職人の作業ストレスを軽減するというメリットもあります。
どんな下地でも高い密着性を発揮する硬化の早いウレタン防水材は、工期短縮だけでなく施工品質の安定にもつながるため、工事全体の満足度を向上させるでしょう。
次に、複数の職人による同時作業も工期短縮を目指せるでしょう。工事の規模にもよりますが、必要な箇所に複数の職人を配置することで、作業効率を向上させることが可能になります。とくに下地処理や材料の塗布といった工程は、複数人で分担することでスムーズに進められます。
しかし、作業人数が増えると人件費も増えるため、コストとのバランスを考慮することが重要です。さらに、事前の準備を徹底することも工期短縮に繋がります。
工事が始まる前に、ベランダや屋上の荷物を片付けておく、エアコンの室外機などを一時的に移動しておくなど、作業スペースを確保しておくことで、当日の作業をスムーズに進められるでしょう。また、業者と綿密に打ち合わせをおこない、工事の段取りや必要な準備について事前に確認しておくことも大切です。
